★「須坂基線」・一等三角点

 三角点というと高い山にあるものと想像しますが、実は平地にもあったのです。
 須坂市と高山村は、松川の扇状地にあり、平坦で見通しの良い所です。明治政府は三角測量の基準となる「基線」をここに設けました。
 「須坂基線」は、北信越5県に岐阜・群馬を加えた7県にまたがる「美信三角測量網」の基準となる直線です。明治時代に、全国に14ヵ所設けられた「基線」の一つで、両端の一等三角点を見ることができます。
 地形図(国土の基本図)の作成は、正確な長さの測定から始められます。「須坂基線」は、3291.9120mと計測されています。
 この直線の長さと両端の角度の観測をもとにして三角形を作り、それを順次拡大して三角形を作っていきます。こうして測量された約40km間隔の三角点を「一等三角点」と呼んでいます
 一等三角測量によって作成された日本全国の地形図を基にして、さらに詳細な地形図を作成するために選定された約8km間隔の三角点が「二等三角点」です。
 このようにして、さらに約4km間隔の「三等三角点」を、約2km間隔の「四等三角点」をと選定して、詳細な地形図を作成したのです。
 なお、三角点の標石の南面には「三角点」の文字が刻まれていて、文字を読む方向が真北になります。  

 
 

  

     

「須坂基線」西端点/一等三角点

 

     

「須坂基線西端点」の説明板

 

  

     

「須坂基線」東端点/一等三角点

 

     

「須坂基線東端点」の説明板

 

  

     

「須坂基線」のある須坂市と高山村(北に雁田山、手前に井上山)/「三角測量網」


 「三角測量網」の作り方
 三角形の一辺の長さとその両端の角度を測れば、三角形が確定し、二辺の長さが分かります。
 一辺(基線)を測量して確定し、他の距離を計算して求める方法が三角測量です。
 「須坂基線」を一辺として、北の雁田山の一等三角点を結ぶ三角形の距離を計算します。同じように南の井上山との三角形の距離を計算します。
 すると、雁田山と井上山の一等三角点を結ぶ直線の距離が計算できます。これが「第一増大基線(増大辺)」です。
 次に「増大辺」を一辺とする、東の猫岳(小根子岳)を結ぶ三角形の距離を計算し、西の髻山との三角形の距離を計算します。これで、猫岳と髻山の一等三角点を結ぶ直線の第二増大辺が決まります。
 さらに、第二増大辺を一辺とする、北の岩菅山と南の聖山との二つの三角形の距離を計算します。するとまた、二つの一等三角点を結ぶ第三増大辺ができます。
 同じように、第三増大辺を一辺とする、東の八風山、西の妙高山と・・・。後は、これを繰り返せば、一等三角点を結ぶ三角測量網が出来上がります。

 
     

画像をクリックすると三角点のある山をご覧になれます。

 

  

雁田山井上山

 

  

髻山根子岳(猫岳)

 

  

岩菅山聖山

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